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疥癬と耳疥癬はちょっと違う?

今回は疥癬(カイセン)についてザックリと説明します。

広い意味で疥癬とは耳や皮膚に寄生する体長0.3~0.5mmのすごく小さなダニのことです。皮膚に寄生する疥癬と耳に寄生する耳疥癬は同じようなものと思われがちですが、実は形態や寄生様式がちょっと違います。

耳疥癬(Otodectes cynotis)は俗にミミダニとも呼ばれ、犬と猫に寄生するものは同一種とされています。外耳道の表面に寄生し痂皮やリンパ液を摂取して生息していますが、皮膚組織内に刺入することはありません。皮膚内にトンネルを作る疥癬とはそこが少し違います。

形態は耳疥癬の方が脚が長いのが特徴です。

耳疥癬
耳疥癬は第1~4脚あり、疥癬よりも脚が長い。

耳疥癬は外耳炎を誘発し、外耳道の掻痒感が強く現れ、黒褐色の耳垢がよく認められます。細菌の二次感染を起こすこともあり、重症化すると炎症が内耳におよび前庭炎から歩行障害を呈することがあります。

耳疥癬を顕微鏡で見るとこんな感じで動いています。ちょっと気持ち悪いですね~。
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次に皮膚に寄生する疥癬についてです。主な病因となるダニは犬ではセンコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、猫ではショウセンコウヒゼンダニです。センコウヒゼンダニの体は類円形で脚は短く、雄ダニは第3脚に剛毛があります。上述したように疥癬は皮膚内にトンネルを作り、産卵もトンネル内で行われます。孵化した幼ダニは新たなトンネルを穿孔します。落下したダニが近隣の動物に再感染することもあり、ヒトにも一時的に感染し強い痒みが見られます。

今度はショウセンコウヒゼンダニの動画です。よかったら見てください。
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症状は強い皮膚の痒みが特徴です。病変は顔面、四肢、耳翼等に好発し、痂皮形成、皮膚肥厚、脱毛等が見られます。重症例では悪液質に陥ることもあります。

こうして両者を比べてみると、名称は似ていても全然別物なのですね。そもそも、寄生部位が全く違いますが…。

どちらのダニも早期に治療すれば、かなり高い確率で治癒するとされていますが、いずれにしてもワンちゃん、ネコちゃんの皮膚や耳の異常に気づいたら早めに動物病院で診てもらいましょう。