魚の町、静岡県焼津市にある動物病院のブログです。☎ 054-628-6468

猫の甲状腺機能亢進症について

今回は猫の甲状腺機能亢進症についてのお話です。

犬は甲状腺機能低下症が多いのに対し、猫は亢進症が多く見られます。
この病気は老齢猫に認められ、特異的な症状がなく診断が難しいとされています。

そもそも甲状腺とは、どこにあって、どんなことをしているのでしょうか?
甲状腺は喉の気管の両脇あって、そこから体の発育や新陳代謝をうながすホルモンを分泌しています。
それでは甲状腺のホルモンが、過剰に分泌されるとどうなってしまうのでしょうか?
代謝が活発になるために、老猫が急に元気になったり、食欲はあっても痩せてきたりします。
さらに細胞の酸素消費量が増えるため、心臓に負担がかかり心肥大を起こしたり、過呼吸になったりします。

猫 甲状腺


先月当院では2例の猫で甲状腺機能亢進症と診断されましたが、そのうちの一例を紹介します。

症例は日本猫、17歳の去勢済みの雄です。

2012.04.23


主訴は血尿と元気消失、多飲多尿でした。
スクリーニング検査として血液検査、レントゲン検査、超音波検査、尿検査を行いました。

血液検査において、白血球数の上昇、好中球数上昇、リンパ球数低下がみられました。
生化学検査においては肝酵素の上昇、BUN、クレアチニンの上昇等が認められました。
尿検査においては細菌性膀胱炎を疑う所見が得られました。

猫において肝酵素の上昇は、肝臓疾患よりも他の基礎疾患が隠れていることが多く、特に甲状腺の病気を疑うことが必須です。

そこでT4(甲状腺のホルモン)を測定したところ高値(>5.0μg/dL)を示したため、甲状腺機能亢進症と診断しました。日本ではアメリカやヨーロッパの様に正確な疫学調査は行われていませんが、片側性の甲状腺癌が原因であることが多いといわれており、肥大した甲状腺を触知できることもありますが、この症例は内部に潜り込んだため触知出来ませんでした。

治療は抗生物質による細菌性膀胱炎の治療と、皮下点滴による腎疾患の治療、さらにT4の検査結果が出た第8病日からチアマゾールによる甲状腺の治療を行いました。

治療を開始して2~3日で血尿は治まり、元気も出てきました。
チアマゾールを投与して一週間後には飲水量の低下、さらに元気回復がみられました。
飼主様は症状の改善にとても喜ばれ、眼やにも減ったし、耳垢も減ってきたと言われました。

最新の治療としては、低ヨウ素食(ヒルズ y/d)を給餌させることにより甲状腺ホルモンの生成を低下させ、効果が得られれば、チアマゾール等の投与が不要になることもあります。

Y/D

老齢の動物でも適切な検査をして疾病に対して有益な治療をすることによって、症状は改善されQOLが保たれることは多くの症例であります。
うちの子は年だから仕方がないな・・・ではなく、獣医さんに相談してみてください。
そのワンちゃん、ネコちゃんに合った治療法はきっとあると思います。