魚の町、静岡県焼津市にある動物病院のブログです。☎ 054-628-6468

犬の排便困難・・・原因は?

今回の症例は排便困難のワンちゃんです。

アメリカンコッカースパニエルの6歳の雄で去勢はしていません。
2週間ほど前から排便がないとのことで来院しました。
一般状態は良好でしたが、尿失禁と腹囲膨満が見られました。
排便は全くないわけではなく、入院時に少量の軟便を確認しました。

血液検査は特に異常はありませんでした。

レントゲン検査においては、多量の宿便、多量の尿貯留による膀胱拡張、前立腺肥大とさらに前立腺背側部の腫瘤を確認しました。


脂肪腫Xray1



脂肪腫Xray2


腹部超音波検査においては、膀胱、前立腺の尾側に腫瘤を確認しました。
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排便困難、便秘症の鑑別としては、食事性、環境要因、神経学的疾患、大腸の閉塞・圧迫、肛門周囲の問題、代謝性・内分泌性疾患、薬物性などが挙げられます。
本症例に関しては、画像診断所見から前立腺の尾背側の腫瘤が大腸を圧迫し排便(排尿)障害を呈していると考えられました。
腫瘤は前立腺肥大を併発していることから、前立腺嚢胞・偽嚢胞、前立腺癌(またはその他の腫瘍)が疑われ、腫瘤摘出手術と前立腺肥大の治療として去勢手術を行いました。


手術により摘出した腫瘤は、なんと脂肪腫でした。
他臓器への浸潤はなく、比較的容易に摘出できました。

写真は摘出した脂肪腫です。

脂肪腫1



脂肪腫に割面を入れたところです。

脂肪腫2


術後の経過は良好で、排便、排尿もスムーズになりました。

排便のちょっとした異常は食欲、元気等の一般臨床症状が正常であると、あまり重大なものと認知されることもなく、治療もせず放置されることも多々あると思われます。本症例の様に曖昧な症状を呈するものでも、画像診断(特に超音波検査)によって確定診断が得られることもあります。

言葉の喋れない、訴えのないワンちゃん、ネコちゃんのちょっとした病気のサインを見逃さないように、日頃から心がけたいですね。