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子宮蓄膿症は早期診断が重要です。

子宮蓄膿症は老齢犬によく認められる病気で、子宮内腔に膿汁が貯留し、細菌が産生するエンドトキシン(菌体内毒素)によって重篤な症状がみられ、治療が遅れると多臓器不全になり死亡することもある怖い病気です。

当院でも2月の終わり頃から立て続けに4例のワンちゃんが子宮蓄膿症に罹患しました。
4例とも早めに手術ができたので、無事に元気に退院しました。
どんな病気でもそうですが、特に子宮蓄膿症は早期に診断し、早期に手術が最も重要です。

年齢は13歳が2頭、15歳が2頭で、症状は元気喪失、食欲低下~廃絶、嘔吐・下痢などの消化器症状、外陰部からの血様物排泄とさまざまでした。子宮蓄膿症の後期によく見られる多飲多尿は1例もみられませんでした。

血球検査では白血球数の著しい上昇や左方移動がよく認められますが、この4例は9800、28700、20100、19800/μℓと1例は正常(当院では6000~17000/μℓが正常値と定めている)でしたが、白血球数が上昇しない症例もあるため、診断には注意が必要です。

生化学検査においては4例とも肝臓、腎臓等の重度な障害は認められませんでした。

問題は画像診断です。
レントゲン検査は4例とも明らかな子宮の肥大は見られず、確定診断には至りませんでした。

ナナ レントゲン VD     ナナ レントゲン R-LATE

上記のレントゲン写真は15歳のポメラニアンですが、子宮が腫れているのか、子宮による小腸等の腹腔臓器の圧迫があるのかは微妙なところです。

ここまでの検査では特異的な症状や検査結果がないのでかなり診断に苦慮していますが、こんな時には超音波検査が非常に有効です。

当院ではアロカα7を使用し精度の高い検査をしております。

アロカα7

それでは超音波検査の動画を見てみましょう。

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最初は膀胱の横断面ですが、真中に黒く抜けた膀胱が見えています。その向かって右側の白い球状のものが結腸に溜まった糞塊で、膀胱の左側に見えている管腔臓器が子宮です。内腔は膿が溜まっていますからモヤモヤと白く見えます。
プローブを動かして縦断面にすると黒く見える子宮の周りに小さい嚢胞が見えています。これは子宮蓄膿症の初期から中期に認められる子宮壁の嚢胞性増殖です。嚢胞性増殖は子宮蓄膿症の後期には消失するものですから、今の状態は比較的早い段階であると診断できます。

これで子宮蓄膿症と確定診断できました。治療は手術が第一選択と考えられます。
年齢や現在の症状から考えると手術にはかなりのリスクが伴いますが、手術しなければ悪化するばかりです。
プロスタグランジンF2α等の内科療法もありますが、治癒までに時間がかかること、副作用の問題、さらに高い確率で再発することもありあまりお勧めできません。

結局4例ともオーナー様の承諾を得てすぐに手術ができ、術後治療後治癒し4~5日で元気に退院できました。

しかし、残念ながらすべての症例で良好な結果が得られるわけではありません。手術は出来ても術後管理がうまくいかない場合や、DIC(播種性血管内凝固)を起こして急死することも、または初診時に既に多臓器不全に陥っていて手がつけられない場合もあります。いずれにしてもまずは早期診断が重要です。