魚の町、静岡県焼津市にある動物病院のブログです。☎ 054-628-6468

膵炎の診断には超音波検査を

犬の膵炎は症状・血液検査所見に特徴がなく診断が難しい疾患です。
しかし精度の高い装置で超音波検査を行えば、高い確率で確定診断に導くことができます。
当院では4月に膵炎と診断された症例が3例ありましたのでご紹介したいと思います。

アロカα7

またまた登場、アロカα7です。
症例1はシーズーの雑種犬、避妊済みのメス、11歳です。
昨日からの数回にわたる嘔吐、食欲廃絶で来院しました。
来院時は強い腹痛は認められませんでしたが、軽度の腹囲膨満があり元気はありませんでした。
血液検査ではALP(545IU/L)、総コレステロール(>400mg/dl)の上昇がみられました。
レントゲン検査では特異的な所見は認められませんでした。

次に超音波検査を行いました。
それでは、動画を見てください。

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異常に肥大した十二指腸と、浮腫性腫大した白と黒のマダラ模様の膵臓をはっきりと見ることができます。

膵リパーゼ免疫活性(cPLI)は>1000μg/L(正常値は200以下)と非常に高い値を示しました。
膵リパーゼ免疫活性は膵炎の診断において今、最も感度と特異性が高い検査法で、これだけの高値であればほぼ確定診断としてよいものと思われます。



症例2はミニチュアロングダックスのオス、14歳です。
2月の終わり頃から嘔吐、食欲不振で入退院を繰り返していましたが、点滴と抗生物質でなんとか状態をコントロールできていました。血液検査では常に白血球数が高く、初期の段階ではクレアチニン、リンの上昇があり腎不全が疑われましたが、治療に反応してクレアチニン、リンが下がった後も白血球数は高値のままでした。

超音波検査では十二指腸のコルゲートサインがみられました。
コルゲートサインは膵炎の時によく認められる所見で腸壁の筋肉のケイレンを示唆するもので、機能的なイレウスを起こしていることが多いといわれています。
超音波検査でみると、十二指腸は大きく波を打ったように見えます。
それでは動画をどうぞ。

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膵リパーゼ免疫活性は、症例1と同様に>1000μg/Lと非常に高い値を示しました。




症例3はミニチュアロングダックス、去勢済みのオス、1歳11カ月です。
2日前からの嘔吐で来院しました。
血液検査では肝酵素の上昇に加え黄疸を併発していたことから、膵炎により総胆管の圧迫があるものと考えられました。

超音波検査では症例2と同様に十二指腸にコルゲートサインが認められ、症例2よりも十二指腸の痙攣が強いものと思われました。

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膵リパーゼ免疫活性は706μg/Lと高い値を示しましたが、第12病日には<30μg/Lと正常に戻りました。


3例とも点滴を主体とした対症療法で症状の改善がみられ元気に退院しました。症例1のみはステロイドも使用し寛解が得られました。

膵炎の臨床症状は軽度の消化器症状のみのものから、重篤な急性腹症やショック症状を呈するものまでさまざまです。血液検査においても多くは非特異的で、今回の3症例においてもいろいろなパターンがみられました。超音波検査は生体に対してストレスや侵襲が少ないため比較的簡単に検査ができ、しかも多くの情報を得ることができます。さらに高性能の装置を使用することで高い確率で確定診断に導くことができます。。。と、冒頭でも書きましたが、もっと重要なことは検査する者の技術です。これからも当院では積極的に超音波検査を実施し、多くの症例を診断していくことでさらに ‘超音波検査の腕’ を磨いていきたいと思います。

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