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椎間板ヘルニアについて(診断・検査編)

椎間板ヘルニアは犬で最も多い脊髄障害で、変性した椎間板物質が背側の脊柱管内に突出し、脊髄を圧迫することにより発症します。今回は当院で実施している診断法である脊髄造影について詳しく説明します。
 

椎間板ヘルニアには破れた線維輪から変性した髄核が脊柱管内に脱出し脊髄を圧迫するHansenⅠ型と、変性、肥厚した線維輪が脊柱管内に突出し脊髄を圧迫するHansenⅡ型が主に知られています。MRI検査で検出され無症状のことが多いとされるHansenⅢ型もありますが、臨床的にはⅠ型とⅡ型が問題になります。


HansenⅠ型HansenⅡ型



ハンセンⅠ型はダックスフンド、ビーグル、シーズー等の軟骨異栄養犬種に多く見られますが、やはりダックスフンドの発症率は圧倒的で全体の犬種の70%以上を占めるというデータもあります。発症年齢のピークは4~5歳と比較的若く、肥満との発生の関連性はありません。ハンセンⅡ型はあらゆる犬種に発生し、通常高齢の犬に多いとされています。


胸腰部椎間板ヘルニアの発生部位は第12胸椎から第1腰椎間で全体の約76%を占めるというデータがあります。


臨床症状は背部痛、頚部痛、歩様異常、不全麻痺~完全麻痺、運動神経麻痺、感覚神経麻痺、排尿障害などです。神経学的検査から椎間板ヘルニアのグレード分類をします。


椎間板ヘルニアは整形学的検査、神経学的検査等で診断できることが多いですが、さらに神経を圧迫している部位を特定するために画像診断をする必要があります。まずは単純X線検査です。

椎間板ヘルニアXRAY1

単純X線の診断率は51~61%、68~72%という報告があります。椎間板の石灰化や椎間腔の狭小化をチェックします。このレントゲンは胸腰部椎間板ヘルニアと診断された6歳のダックスですが、単純X線像では異常部位を特定できません。


次に脊椎造影を行います。当院では最も安全とされる第5~6腰椎間から造影剤を投与しています。

椎間板ヘルニアXRAY4


レントゲンフィルムをクローズアップすると、造影によって脊髄が圧迫された部位がはっきりと解ります。第12~13腰椎間に圧迫が認められました。

椎間板ヘルニアXRAY3


脊髄造影の診断率は94.4%、CTの診断率93.3%という報告があり、MRI検査はほぼ100%とも言われていますが、これら3つの検査は同等に精度の高い検査と言えます。脊髄造影の検査のメリットとしてはCT、MRIのような大掛かりな器機は必要なく、一般のレントゲン撮影器と造影剤、注射針のみで出来ること、短時間で検査ができること、低コストであること等です。デメリットは検査手技には熟練を要することです。

当院では全身麻酔下で脊髄造影を行い、病変部位を特定した後、すぐに手術とレーザー治療(PLDD)を行います。次回は手術とレーザー治療について詳しく解説します。