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椎間板ヘルニアについて(内科治療・外科手術編)

今回は胸腰椎椎間板ヘルニアの当院で行っている治療について解説します。

椎間板ヘルニアの治療はまず病気の程度を示すグレード分類を行い、グレードの低いものは内科療法になりますが、グレードの高いものに対しては外科手術が必要になります。一般的にグレード分類と治療法は下記のようになります。

症状治療
 Grade1 疼痛のみで神経異常がない 温存療法
 Grade2 不全麻痺だが歩行可能
 再発する疼痛
 温存療法
 Grade3 重度の不全麻痺
 歩行、起立不可
 温存療法、減圧手術
 Grade4 完全麻痺
 深部痛覚あり
 片側椎弓切除術
 背側椎弓切除術
 Grade5 a:完全麻痺
   深部痛覚なし(48時間以内)
 外科療法
 b:完全麻痺
   深部痛覚なし(48時間以降)
 外科手術 または不適応?

グレード1~2では温存療法が適応となります。具体的にはNSAIDsやステロイドの投薬、リハビリ、ケージレスト(ケージに入れて安静を保つ、運動制限)またはレーザー療法を行います。

グレード3~4は手術適応となりますが、いろいろな論議があるところです。当院ではインフォームドコンセントを十分行った上で内科、外科療法を決めています。

グレード5は間違いなく手術適応です。グレード5までいってしまうと時間との闘いです。深部痛覚(指間を鉗子でつまんだ時の痛み)がなくなって48時間以上経つとかなり手術の成功率が悪くなります。グレード5a(深部痛覚なし、48時間以内)の手術の成功率は50%、グレード5b(深部痛覚なし、48時間以降)は6%というデータもあります。



外科手術は通常は片側椎弓切除術を行います。脊髄造影で確認した責任病変部の関節突起、椎弓を切除し脊椎を圧迫している椎間板物質を摘出します。椎弓の切除は以前はラウンドバーを使用していましたが、最近は小型のロンジュールを使っています。ロンジュールの方が安全で短時間に手術が出来ます。

ロンジュール、ラウンドバー

左からロンジュール(大)、ロンジュール(小)、ラウンドバー(マイクロエンジンに装着)


さらに当院ではPLDDと呼ばれるレーザー治療も同時に行います。PLDDとは、Percutaneous Laser Disc Decompressionの略で、 椎間板の中の髄核に刺したレーザーファイバーからレーザーを照射して髄核を蒸発させ椎間板ヘルニアを治療する方法です。この治療法を責任病変部とその周囲の頭・尾側椎間の計3か所に行うことによって、さらに脊椎の圧迫を抑え、ヘルニア好発部位において将来起こるヘルニアを予防します。合併症として考えられる椎体不安定症はこの術式では起こりません。

PLDD

PLDDはハンセンⅡ型に効果が高いといわれていますが、ハンセンⅠ型にも有効です。PLDD単独治療で完治した症例もありますが、残念ながらそうでなかったものもあります。片側椎弓切除術も同様です。当院では片側椎弓切除術とPLDDを同時に行うことによってさらに手術の成功率が上がるものと考えております。
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