魚の町、静岡県焼津市にある動物病院のブログです。☎ 054-628-6468

おうちでの出産について

こんにちは動物看護師の原田です

今日、午前中はザーザー降っていた雨も昼ごろから止み
天気もだんだん回復してきました
明日は久しぶりに晴れるようですね♪


最近、当院の患者様でもベビーラッシュが続いております

当院にてお預かりして出産もできますが、そのわんちゃんにとっては

安心できる我が家の方がいいはず。。。



なので、今日は わんちゃんのお家出産の方法 をお教えします




と、その前に。今交配を考えている飼い主様に。


わが子のように可愛い愛犬…この子の子どもが欲しい、見たい

と思うのは悪い事ではありません。

ただ、繁殖を避けた方がいいわんちゃんもいます

神経過敏
骨盤に変形がある
潜在精巣
・整形外科、眼科領域などに先天性疾患がある
・難産になりやすい犬



難産になりやすい犬

・チワワ、トイ・プードルなどの小型犬で産子数が少ない場合
・パグやブルドッグなどの短頭種
肥満高齢動物
・ソケイヘルニアや子宮捻転などがある場合
・小型のメスに大型のオスを交配させた場合
・初産犬で胎子数が少ない場合
・神経質な犬や飼い主が溺愛している犬



犬は安産だと昔から言われていますが、実際はそうでもありません
小さく個性的に改良されてきた小型犬では、特に難産が多いです。
難産になると緊急の帝王切開手術になりますし、母子ともに危険が伴います

また、難産になりやすい犬種や胎子が大きくなりすぎた場合
最初から帝王切開になる場合もあります。


また、妊娠、出産には費用時間もかかります
検査費や、もしもの時の帝王切開の費用、出産時の消耗品や
子犬が生まれた時のワクチン代、食費等…
その子犬たちや母犬にかけてあげられる時間…
本当にありますか?


次の項目をチェックしてみてください

ロうちのわんちゃんは神経過敏でもないし、性格も良い子
ロ先天性の疾患も特に持ってません
ロ費用もうちの子のためなら出せます!
ロ家には誰か必ずいるし、この子のために時間も作る覚悟はできてます!



この項目全てにチェックできた方は
下記のわんちゃんの妊娠についてにお進みください
長文で読みにくくてすみません





妊娠したら・・・


ブリーダーさん、お友達のわんちゃんと交配したけど

妊娠してるかどうか、わからない。。。



妊娠したかどうかを確かめるには動物病院で検査が必要です 


超音波(エコー)検査

エコー検査では胎子の心臓の動きによって生死の確認ができます。
胎子の数は確定できません。
交配後、20日以降で検査・診断ができます。

X線検査

胎子数を胎子数を確定できます。
また過胎子(大きくなりすぎた胎子)の確認もできます。
交配後、50日以降で検査・診断ができます。


妊娠から出産までの主な変化を表にしました。

 時期(妊娠後) 母犬の行動や変化・気をつけること
 20日前後 妊娠中最も安静にする必要がある時期。
 21~28日 妊娠前の約30%くらいまで食欲が減退することがある。
 妊婦でいう「つわり」のようなもの。
 35日~ 徐々に食餌量を上げる。(20%~50%増)
 40日~ お腹が目立ち始め、体重も増えてくる。
 55日~ 体温測定を始める。
 63日前後 出産


このように、日刻みで母犬の体は変化していきます。
変化するに従い、様々な注意が必要になります。


注意その1:食事のコントロール

妊娠中、お腹が大きくなるにつれ、胃が圧迫され
一度にたくさん食べることができなくなります。
数回に分けてあげましょう。



注意その2:妊娠中は適度な運動が必要!

食事のコントロールとともに、引き締まった筋肉と体脂肪の
少ない体をつくることが安産に分娩を行うために必要になります。
運動不足は、分娩時の陣痛が微弱になり、難産を招きやすくします。

ただし!犬同士の激しい取っ組み合いなどはNG!
 また、階段の昇り降りなどは(お腹が大きいため)
 うまく上がれず、すべってしまうことがあるので、注意!!


注意その3:ストレスは大敵!!

妊娠中は母犬も不安を感じています。
ストレスはできるだけ与えないようにしましょう。
動物病院に連れて行くのがストレスだったりする場合は
必要最低限の来院にしましょう。
また、妊娠中の旅行なども避けたほうが良いです。


注意その4:妊娠時の投薬には注意しましょう!

薬によっては、流産や奇形の影響が出るため、注意が必要です。
妊娠中、病気にかかり病院にて薬をもらったりする時は
獣医の先生に妊娠中であることをしっかり伝えましょう。
ワクチンも妊娠中は接種してはいけません。
出来れば、交配前に接種しておきましょう。

フィラリア予防薬は飲ませても問題ありません。

注意その5:妊娠中の異常

もし、外陰部から異常な分泌物が見られたり
流産が起こった場合は、胎盤や胎子、膣からの排出物を素手で触らないように!
もし、触れた場合はその後十分洗浄する。
そのまま、動物病院へ。



出産へ向けての準備

母犬にとって、落ち着ける場所を用意しましょう!

静かで、家族があまり通らない落ち着ける場所が理想とされていますが
小型犬だと逆に家族が見える場所の方が落ち着ける子もいます。
その子に合わせた場所を見つけてあげてください。

木製または段ボールで産箱を作りましょう!

落ち着ける場所を見つけたら、分娩予定日の一週間前ぐらいから
木や段ボールで作った産箱を、その場所に置きましょう。
産箱は小型犬の場合、20センチほどの高さが良いです。
子犬が這って出られない高さで、母親が自由に出入りできる高さがベストです。

産箱



体温測定を始めましょう!

分娩予定日の7日前から、分娩を予測するために
1日3回以上体温を測定しましょう。
そうすることで、その母犬にとっての平熱がわかり
分娩を予測することができます。
分娩前約24時間37.5℃以下の体温に低下しはじめます。
約12時間前になると平熱よりも約1~1.5℃の体温の低下が起こり
その後再び上昇しはじめ、分娩が起こります。
もし可能であれば、仕事や用事なども休み、準備をしましょう。

猫でも体温の低下は起こりますが、犬ほど顕著ではないため
 体温測定による分娩の予測はできません。


体温測定ポイント!
・尻尾をしっかりと持って、上にあげます
・直腸壁に付くように、体温計を少し傾けて
・運動、食事、興奮などで体温が左右されやすいため
 できるだけ決まった時間の安静時に測定しましょう
・測定値が低すぎると測定間違いの可能性もあるため
 もう一度測定して確認してみましょう


ジャスティス体温測定



いよいよ出産!!

出産時必要なもの


出産時用意するもの




・タオル ・ペットシーツ ・アルコールなどの消毒液
・絹糸 ・はさみ

(ドライヤー、お湯を張った桶などもできれば用意)




分娩の開始時間も個体によってまちまちではあるが、
母親が静かになって落ち着ける夜中~明け方から始まることが多い

分娩徴候としては。。。
不安になる  落ち着きがなくなる  巣作り行動
食欲低下  外陰部の充血(透明な粘液を排出)  
外陰部を気にする  浅く、速い呼吸になる
排尿回数が増える

自然分娩

1 産道が拡張し、断続的な子宮の収縮(陣痛)が起こる
2 陣痛は強くリズミカルになり、やがて一次破水が起こる
3 その後、さらに強くなった陣痛とともに羊膜をかぶった胎子が出現する
4 胎子の入った羊膜は自然に破れるか、母親が自分で破り胎子が娩出される
5 母親は娩出された胎子の胎膜も破り、臍帯を丁度良い長さの部分で噛み切り
  強く舐めることによって新生子の呼吸を促す



人による介助

自然分娩が出来ればベストですが、中には上記のことを自分では
出来ない母犬もいます
。その場合、飼い主様の手助けが必要になります。


介助の方法

1 産道に胎子の一部が出ていてそれ以上進まない場合は
  胎子を持って母親の陣痛に合わせて引き出しましょう。

  ※引っ張る時は胎子の一部を引っ張るのではなく、
   体全体を持つような感覚で引っ張りましょう。
   それでも出ない場合は→動物病院へ

胎子



2 胎子が出てきたら、羊膜と胎膜を破り取り除く
  羊膜と胎膜は簡単に手でちぎれます。








タオルでこする






3 きれいな温かいタオルで羊水を拭き取り、呼吸を促すようにこすりましょう。
  子犬の背中を背骨に沿ってゴシゴシこするように。
  あまり強すぎないよう注意!




振る




4 口や鼻の中を拭き取り、羊水が詰まっているようなら
  胎子の体を両手で包み込み、頭を外側に大きく振る

  ※あまり強く振ると危険!









ハサミで切る





5 胎子と胎盤を結ぶ臍帯を胎子から5~10mmの所で絹糸で2~3重に結び
  胎盤側で臍帯を消毒したハサミで切る

  ※ハサミで切る時、胎子側を切らないように!出血してしまいます。









6 体温が低下していたら、お湯の中に入れたり、ドライヤーで温める
  ※ドライヤーやお湯などでやけどをさせないよう注意しましょう




胎子を娩出後、しばらく休憩し、再び徐々に次の陣痛が始まり娩出期に戻ります。
この休憩時間は、個体によって差があり、5~120分(平均1時間ほど)です。
休憩時間が長すぎる時は軽いお散歩にいったりすることで次の分娩が始まることもあります。
※この時、出産した子犬を母犬から取り上げないようにしましょう。
母犬が不安になるだけでなく、生まれた子犬の乳首に吸い付く動作が
強ければ強いほど、次の胎子もスムーズに娩出されます。


出産時の注意

注意その1:胎盤に注意!

通常胎盤は胎子が娩出される時、同時に排出され
多くの母親は胎盤を食べますが、これは本能的な行動です。
胎盤を食べても次の陣痛が促進されるなどのメリットはなく
むしろ、胎盤を食べることにより、下痢や嘔吐を起こし
母体から水分が失われ、母乳が出なくなる可能性もあるので
出来れば食べさせないようにしましょう。

また、子犬が生まれた後に必ず胎盤が排出されますが
生まれてきた子犬と出てきた胎盤の数は同じでなければなりません。
胎盤が子宮に残ったままだと急性子宮炎を起こす可能性があるので
子犬の数と胎盤の数は注意して見てください。


注意その2:母犬と子犬の動きをよく見ておきましょう

母親は娩出が全て終わるまでは落ち着かず、動き回ることが多いです。
姿勢を変えて座ったりするときに、新生子を踏み潰したりしないよう
注意深く観察しましょう。


注意その3:できるだけ手は出さないようにしましょう!

基本的に母犬は本能的な母性本能として子どもを分娩した後の
処置の方法を知っています。人間が手を出しすぎて母犬が不安になったり
子育てを放棄、また中にはとられないようにするために我が子を
食べてしまう母犬もいます。分娩時には、見守るようにして
母犬がどうしたらいいかわからないような動作をした時だけ
介助するようにしましょう。






こんな時は動物病院へ

・第1子娩出前に、緑色の分泌液が外陰部から排出される

・妊娠してから67日過ぎても出産が始まらない

・体温が37.2℃以下を確認してから24時間以上経過している

・弱い陣痛が2~3時間以上持続している

・強い陣痛が20分~30分起こっているのに胎子の娩出が起こらない

・子犬の数と胎盤の数が合わない

・破水したのに、15分以上胎子が出てこない





産後に気をつけたいこと

母犬


低カルシウム血症

症状:呼吸促迫 振戦 筋繊維束性痙縮 衰弱 運動失調 
   強直性および間代性痙攣(ケイレン) 
   心拍数、呼吸数、体温上昇  そのままにすると死にいたることも。

時期:泌乳期(子犬にミルクをあげている時期) まれに妊娠後期に起こる

原因は明確ではないが、胎子へのカルシウム供給や、
乳汁へのカルシウムの喪失など、母体のカルシウム不足で発症する。

  ↓
動物病院




急性子宮炎

症状:発熱 子宮から強い腐敗臭のある悪露を排出 合併症も引き起こす

時期:分娩後

産後の細菌感染によって発症

  ↓
動物病院




乳腺炎

症状:熱感 硬結 腫脹 疼痛 膿瘍 壊死 
   全身的には発熱 食欲不振 脱水など

時期:分娩後

乳腺への細菌感染によて乳房炎を発症

  ↓
動物病院


その他にも、母犬が発症しやすい病気

・無乳症 ・胎盤付着部位の退縮不全 など




子犬



換気不全

出産後、自発呼吸ができず、そのまま亡くなるケースも多いです。
自発呼吸が出来ても、母犬の体で圧迫され、
呼吸ができず圧死させてしまうことがあります。
生後10日くらいまでは十分注意してください。
また、大型犬などの場合、子犬の体重も多く、頭数も多いため
子犬同士で重なりあって下になっていた子犬が圧死、というのもあります。

対策:母親が踏まないよう飼い主様が注意してみてあげてください。
   子犬が多い場合は、必要であれば2箇所に分けるなどしてあげましょう。




低体温症

生まれた新生子は2週間、自分で体温調節が出来ません。
主に兄妹犬や母犬の体にくっついて低体温を防ぎますが、
母親たちから離れていたり、寒い日などは注意が必要です。


対策:ヒーターや暖房、お湯を入れたペットボトルをタオルにくるみ
   置いてあげると効果的です。




口蓋裂

口蓋裂


軟口蓋・硬口蓋・顎前骨および口唇が関係する口腔と鼻腔の間に
正常とは異なった空気の通り道が出来ること
があります。
これを口蓋裂と言います。
哺乳困難、鼻からのミルク逆流、鼻水および成長障害

  ↓
動物病院へ

生まれたら最初に子犬の口の中を見て口蓋裂がないか
チェックしましょう。










低血糖症

生後3ヶ月までの子犬にたびたび見られます。
子犬の血中の糖が下がり、衰弱、元気消失、鳴命、徐脈、呼吸困難
痙攣(ケイレン)および昏睡
に陥る場合もあり、放っておくと死に至ります。

  ↓
動物病院



このように、母犬や、子犬の病気も少なくありません。
母犬や子犬の調子が悪いと感じたら
早めに来院しましょう!





このように、妊娠・出産は母犬にはもちろん、
飼い主様にとっても、大変な出来事です
出産させたいという飼い主様は準備と覚悟をしっかり持って、交配させてください
また、産ませる予定が無いわんちゃんでしたら、早めの避妊去勢手術をお勧め致します



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